(1)この一つの社会を全体としてみたとき、その構造はどのようなものか? その本質的な構成部分とは何と何で、それぞれ相互にどう関わり合っているのか? それは他の社会秩序のバリエーションとどのように異なるか? 社会のある側面は、秩序の持続や変化に対して、どういう意味をもっているのか?
(2)この社会は、人類史のどのような地点に立っているのか? この社会が変動していく仕組みとはどのようなものか? 人類全体の発展においてこの社会はどのような位置を占め、またそれに対してどのような意味をもつのか? 私たちが検討しているある一つの特質が、その時代に対してどのような影響を与え、また逆にそこからどのような影響を受けているか? さらに、この時代というものについて言うならば、それがもっている本質的な特徴とは何で、他の時代とどのように違っていて、その歴史形成に特徴的な道筋とは何であるのか?
(3)この時代のこの社会において、現在どのような種類の人間たちが顕著になってきていて、これから先、それがどうなっていくか? どのような方法で、そうした人間たちは選別され、あるいは形成されているか? どのように彼らは解放され、あるいは抑圧されているか? どのように彼らの感覚は過敏なものにさせられ、あるいは麻痺させられているか? この社会のこの時代における行動や性格を観察することで、どのような「人間性」が明らかになるのか? そして、私たちが検討している社会のありとあらゆる特質一つ一つは、「人間性」に対してどのような意味があるのか?
[…] 傑出した社会分析家たちが行ってきた問いかけは右の三つである。これらは、社会における人間をめぐる古典的研究の知的な中心軸をなしてきたものであり、さらに言えば、社会学的想像力の精神をもつ者が、絶えず問いかけてきたものである。
С・ライト・ミルズ『社会学的想像力』(ちくま学芸文庫、2017年)