サプライズのために消してくれていたハロゲンライトが再び点灯し、引率者たちの顔が夜の山に浮かび上がった。こちらに向けられている笑顔をまじまじと見てみたが、全員驚くほど馴染みがない。曲がりなりにも今日1日を一緒に過ごした仲だというのに。怒られなくて済んだし、こんな私のためにケーキを用意してくれたのも嬉しいけれど、一度しかない19歳の誕生日を全然知らない人と過ごしているなぁ、としみじみ思ったのを覚えている。こういうのが、大人の世界なのかもしれない、とも。
藤岡みなみ『パンダのうんこはいい匂い』(左右社、2022年)