ルネッサンスとは何だったのか? たとえば、聖母マリアを例に取ると分かりやすい。マリアを描き、彫刻に彫るときの大きなテーマはキリスト教の祈り。ルネッサンスの始まりは、そのマリアを荒々しいリアリズムで表現したことにあったそうです。
それが、時代が進むと、マリアにはその古典となるべき完成形が誕生し、さらに時代が進むと、今度は細部にこだわるようになり、最後はぎらぎら飾り立てるものになったといいます。細部にこだわったときには、本来のテーマであった「祈り」はどこかへ行ってしまい、残ったのは、たんなる女体だったそうです。
以上をまとめると、アーカイズム→クラシック→マニエリスム→バロックという流れになり、美術の歴史はこの四つのサイクルの移り変わりになるというのが高畑さんの説です。
川上量生『コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと』(NHK出版、2015年)