「二谷さんは、ごはんを食べるのが面倒で、でも食べなきゃいけないのが、嫌なんですか?」
尋ねて見つめる、二谷さんの目の奥が暗い。「それの周辺も含めて嫌い」と、二谷さんが答えた。 この人を分かりたいという気持ちと、その日のままでいてほしいという気持ちの両方がある。周辺って? と続けて尋ねる。
「ごはん面倒くさいって言うと、なんか幼稚だと思われるような気がしない? おいしいって言ってなんでも食べる人の方が、大人として、人間として成熟してるって見なされるように思う」
高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』(講談社、2022年)