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高円寺駅のガード下で、ケースケくんとケバブを食べながら路上ライブを見た。


「すず佳」という女性が歌う「いいんだぜ」という曲がよかった。なんというか、擦り切れた生活から滲み出てきたような優しさが詰まっていた。

いいんだぜ いいんだぜ
いいんだぜ いいんだぜ
君がドメクラでも ドチンバでも
小児マヒでも どんなカタワでも

いいんだぜ いいんだぜ
いいんだぜ いいんだぜ
君が鬱病で 分裂で
脅迫観念症で どんなキチガイでも

いいんだぜ いいんだぜ
いいんだぜ いいんだぜ
君がクラミジアで ヘルペスで
梅毒で エイズでも おれはやってやるぜ
なでてあげる なめてあげる
ブチ込んでやるぜ

いいんだぜ いいんだぜ

すず佳さんは相当酔っていて、ほとんどヤケクソのように歌っていたのだが、それがまためちゃくちゃよかった。酔っ払ってこの曲を歌うなら、高円寺のガード下よりいいステージはないだろう!

曲を歌う前の流れからして「カバー曲なんだろうな」と思っていて、帰ってきて調べたら「作詞・作曲:中島らも」だった。ちょうど数日前に『今夜、すべてのバーで』を読んだばかりだったので、妙な縁を感じる。

久しぶりに、納期の迫った仕事をひとつも抱えずに迎えた金曜の夜だ。(もしこれを読んでいる人で、僕に何かを依頼している方がいたらごめんなさい。見なかったことにしてください。)

あまりの開放感に浮かれてしまい、夕方から新宿を歩いて目についた雀荘に入って東風戦を四回打った。それから高円寺まで戻り、中華屋「福来門」(南口の方)で上海炒麺を平らげ、餃子をつつきながら深夜までダラダラと居座る。

何か新しい活字を頭に入れる気になれず、あてもなく Kindle ライブラリをスクロールしていると、昔何かのセールで買ったまま放置していた中島らもの『今夜、すべてのバーで』が目に留まった。いまやすっかり酒客としての生活からは遠ざかってしまったけれど、今夜の気分にはちょうどいい。

読み始めてすぐに、アルコール依存症で特別病棟に入院している主人公(中島らも)の年齢が三十五歳だと知り、思わず腰を抜かした。こいつ僕より若いのかよ。

以前この本を読んだのは、確か中学生か高校生の頃だ。少なくとも僕がまだ酒の味を知らなかった頃のはずで、恐らく二十年以上も前のことだと思う。当時は「とんでもなく破天荒なオッサンの話」として面白がっていたはずなのに、今や「まだ若いのに、こんなところまでいってしまったのか……」と、作中に登場する医師や看護士たちと全く同じ目線で痛々しく感慨に耽ってしまった。歳を重ねるにつれ、この手の不意打ちを食らうことが多い。