久しぶりに、納期の迫った仕事をひとつも抱えずに迎えた金曜の夜だ。(もしこれを読んでいる人で、僕に何かを依頼している方がいたらごめんなさい。見なかったことにしてください。)
あまりの開放感に浮かれてしまい、夕方から新宿を歩いて目についた雀荘に入って東風戦を四回打った。それから高円寺まで戻り、中華屋「福来門」(南口の方)で上海炒麺を平らげ、餃子をつつきながら深夜までダラダラと居座る。
鴫原さんが亡くなって今日で一年だ。亡くなったのは明け方だったはずなので、去年の今頃はもうこの世にいなかったのか、とか、死んでからの一年で夢に出てきたのは一回だけだったな、とか、大して意味のないことを考えたりした。
いくつか読みかけの本があるものの、あまり新しい活字を頭に入れる気になれず、あてもなく Kindle ライブラリをスクロールしていると、かなり前のセールで買っておいた中島らもの『今夜、すべてのバーで』が目に留まった。もうすっかり酒客としての生活からは遠ざかってしまったけれど、今夜の読み物としてはちょうどいいと思った。
読み始めてすぐに、アルコール依存症で特別病棟に入院している主人公の年齢が三十五歳だと知って、思わず腰を抜かした。こいつ僕より若いのかよ。
以前この本を読んだのは、確か中学生か高校生の頃だ。少なくとも僕がまだ酒の味を知らなかった頃なので、恐らく二十年以上も前のことだと思う。当時は「とんでもなく破天荒なオッサンの話」として面白がっていたが、今回は、
「まだ若いのに、こんなところまでいってしまったのか……」
と、作中に登場する医師や看護士たちと同じように痛々しい気持ちになってしまった。


