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夜、高円寺駅に着くと、台湾から遊びに来ているエリアルから「ラーメンを食べたい」と連絡が入ったので、北口のロータリーで待ち合わせることに。

エリアルを待つ間、ロータリーでキガさんというチリ人と出会い、何故か意気投合して一緒にシャボン玉を飛ばして遊ぶというピースな時間を過ごす。キガさんが『HUNTER×HUNTER』の暗黒大陸編をスペイン語訳で読んでいると言うので、ほんまかいなと思って少し突っ込んだ質問をしてみると、僕なんかより遥かに内容の理解が深くて(というか僕は暗黒大陸編について何も理解していないのだが)ただただ脱帽した。完全に侮っていた。非礼を詫び、自分に無自覚な偏見があることを反省する。


エリアルと合流して「どんなラーメンが食べたいの?」と尋ねると、絶賛『ちいかわ』にハマっている彼女は目を輝かせながら、

『郎』が食べてみたいです」

と、不穏なリクエストを口にする。

試しに別のラーメン屋を候補に挙げて煙に巻こうとしたが、エリアルのキラキラした眼差しには抗えず、腹を括って南口の「らーめん大」へと向かうことにした。思いがけず二郎(インスパイア)に駆け込む土曜日の24時半。しびれる。

着丼。御多分に洩れず普通サイズでもかなりの量で、モデルのようにスリムなエリアルは食べきれないのではないかとハラハラしたが、まったくの杞憂だった。エリアルは箸を止めず、山盛りの野菜も麺もペロリと平らげてしまった。またしても侮っていた。申し訳ない。

僕は感心しつつ、店のおっちゃんに「彼女は台湾から来たのだ」という話をすると、おっちゃんは嬉しそうに目を細めていた。エリアルもなんだか誇らしそうだった。ニンニクと醤油の匂いが充満する狭い店内に、あたたかい満足感が漂っていた。


夜風の吹く帰り道、「初めての二郎はどうだった?」と聞いてみると、エリアルは晴れやかな顔で、

「疲れました」

と笑っていた。