ZINEやリトルプレスと呼ばれるような小さな出版物をよく手に取ります。とりわけ惹かれるのは日記です。日常を綴るための言葉、普段遣いの言葉は、辞書には載っていなかったり、文法的に見たらおかしなところがあったりするかもしれないけれど、いわんとすることは実感としてたしかに伝わってくる。このうねり、グルーヴ感に身を委ねていたいと感じるような言葉。校正を通した出版物ではあまり見ることのない、野の言葉とでも呼びたいような言葉にふれると、書くことはもっと自由でいいのにと思います。
(牟田都子、2022『文にあたる』亜紀書房)