「お金を稼ぐためにしかたなくすること」
「プライベートと反対の緊張する時間」
「どんどん規模を大きく発展させなければいけない」
こういう仕事観は、果たして自明なのだろうか。お金も休みも発展も必要だが、でもそれ自体は目的ではない。大事なのは、人が仕事を通して「何に気づくのか」だろう。お金や規模などの「結果」ではなく、働くことで自分の世界を豊かにしていく「プロセス」なのではないか。自分がどんな世界に生き、どんな存在と関わっているのか気づき、その気づきの解像度を上げていく。プロセスにこそ仕事の本質的な価値がある。
(小倉ヒラク、2017『発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ』木楽舎)